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歯学部を目指す皆さんに


内村鑑三の残した言葉に"Dentistry is a work of love" "歯科医療は愛の仕事である"という言葉があります。
歯科医療は社会に対して奉仕するという意味です。
歯学部での勉強、そして卒業後も生涯続く歯科医師としての勉強は、倫理、人間愛あるいは広く全人的な観察、優しさなどなくしては続けることは出来ません。
これから歯科医師になろうと希望している皆さんも、ぜひ情熱をもって患者さんの健康を守り、社会に貢献できる歯科医学の勉強に足を踏み入れてみませんか。

Q1 時代とともに人間も社会も変化していますが、今後、歯科医療はどのように変化していくのでしょうか。

A1 社会の高齢化が進み、これから高齢者はどんどん増えていきます。その高齢者が人間的に生き生きと暮らせるようにするには、話すことと食べることが十分に行われなければなりません。そして、歯を含めた口腔はこの両方に深く関わっています。
食べることは、健康に直結していますし、やはり自分の歯で食べた方がおいしいものです。最近、自分で物を噛んで食べることが、その人の脳の機能を生き生きさせることがわかってきました。一方、歯がないと、発音と審美面の2つの理由から話すことがおっくうになります。話をし、仲間作りができる人は、認知症になりにくく、なっていても、それが軽くなったりするほどです。人間は自分の話していることを耳から聞いて知能が保たれている部分があり、話すことは非常に重要なのです。
また、口腔介護(口腔ケア)を行って口腔内をきれいに保っておくと、高齢者の死因になりやすい肺炎を大幅に減らせることがわかっています。これからの歯科の治療は、予防が中心になってきます。たとえ治療する場合でも、これまでのように悪い歯を削ったり、抜いたりするのではなく、なるべくその歯を生かしていく方向に進んでいます。

Q2 歯科医師として働くことの魅力とは?

A2 歯科医師は多くの人々に健康な生活を送ってもらえるよう、大きな役割を担っています。と同時に、歯の痛みを根本的に救えるのも歯科医師だけなのです。また、患者さんから「よくなりました、有難う。」と感謝される時、医療に携わる者として、人々の健康を守る喜びと魅力を感じます。言いかえると、歯科医師の仕事は夢のある仕事といえます。
予防が大事であることは、言い換えれば、別に痛みなどの症状がなくても、何か月おきかに歯科医院に行く、ということになります。そうすれば、検診に来た時に本人が気がつかないような早期のむし歯をチェックすることができ、その時点で治す必要があれば治します。そうなれば、治療費も低く抑えられますし、早期治療により、歯の欠損を避けることができます。

大診療室での歯科治療

治療中の歯科医師


Q3 歯学部ではどのような教育が行われているのでしょうか?

A3 現代の文明はテクノロジーの進歩にリードされているのが現実です。ただ、あまりテクノロジーが進み過ぎると、人間性が置き去りにされてしまいます。従前の歯学教育も例外ではなく、ともすれば歯科治療技術偏重になりがちでした。
今の歯科医学教育は、この弊害を改善するために例えば「医療人間学」などのいわゆる「態度教育」「患者さんとのコミュニケーションに関する教育」を1、2年生の早い時期から取り入れるなど、患者さんの立場に立てる歯科医療人としての良識と豊かな人間性を身につけることを重要視しています。また、歯を含めた口腔機能は、全身との関わりが強く、全身的な観点から、医科との連携も大切になります。
また、 効果的な医療を行うには、歯科医師と歯科衛生士・歯科技工士らの医療スタッフと患者さんとが協力することが必要です。つまり、患者さんはすべてを歯科医師まかせにするのではなく、歯科医師も患者さんの意見を尊重し、みんなで協力して問題を解決していく姿勢がより強く求められます。ですから、これからの歯科医学教育は新しい情報を取り入れて、新しい技術を応用することを教えると同時に、これからの心の時代に対応するため、人間関係も学んでいきます。

親身な指導

むし歯治療のための基礎模型実習

人体模型を用いた実習

Q4 歯学部のカリキュラムはどのようになっているのですか?

A4 卒業の要件として4年制の大学では124単位以上を修得することになっていますが、歯学部では6年制で188単位以上を修得しなければなりません。
従来までの歯学部のカリキュラムは、大学設置基準により2年間の進学課程で一般教育科目等を、4年間の専門課程で専門教育科目を修得するよう大枠が決められていましたが、平成3年の大学設置基準の大幅な改正に伴い、進学・専門課程の大枠が廃止され、一般教育科目(教養科目)、歯科基礎科目、歯科臨床科目での細分化された縦割式の教育を見直し、全体を通じての総合性(統合性)、一貫性という観点から総合(統合)科目等の科目が導入されるなど横割式による6年間一貫教育が積極的にすすめられてきました。
さらに、歯科医療人としての最低限、備えていなければならない態度・知識・技能等に関する教育内容のガイドラインが平成13年に「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」として示され、全国の歯科大学でもこのガイドラインに沿ったカリキュラムが、大学独自のカリキュラムとともに導入されています。
このモデル・コア・カリキュラム導入に伴って、教育評価としての「共用試験」が平成14年から臨床実習を行なう前に全国的に実施されています。この共用試験には、CBT(Computer Based Testing=コンピュータを使ったテスト)とOSCE(Objective Structured Clinical Examination=客観的臨床能力試験)とがあり、大学により時期の差はありますが、平成17年度から本格的に導入されました。

CBT(コンピュータによる試験)

臨床実習(指導者の下で歯科治療に参加)

臨床実習(画像診断実習)


Q5 私立歯科大学・歯学部の学費はどれくらいですか?

A5 私立歯科大学・歯学部での6年間の学費(学納金)は約1,800万円〜3,000万円(平成28年度)。この他に実習器材(材料)、教科書代などが必要です。これは充実した歯学教育のための施設や設備の導入や維持、附属病院での実習、教員の確保など学納金に頼らざるを得ない私学の状況があるからです。
大学設置基準の中には、歯学部における教員一人当たりの学生数、学生数あたりの校舎の広さ、必要な設備について事細かに定められています。そしてそれらの基準は他の学部に比べて歯学部や医学部はとても高い基準になっています。人の健康に携わる歯科医師を養成するわけですから、少人数制によるきめ細かい指導と高度な最新設備・施設がどうしても必要になってきます。各私立歯科大学・歯学部では、学費がこれ以上高額にならないよう努め、あわせて各種の奨学金制度や特待生制度等による学費負担の軽減にも努力しています。

Q6 歯科医師国家試験について聞きたいのですが。

A6 歯科医師免許を取得するには、国家試験に合格しなければなりません。この国家試験は、昭和22年実施以来、一時期、年2回行われたこともありましたが、昭和61年春以降、年1回行われています。平成18年からは、歯科医師臨床研修の義務化に伴い、従前より約1ヶ月早く2月初~中旬頃に実施されるようになりました。
試験問題は、必修問題、一般問題および臨床実地問題から構成され、問題数は増える傾向にあり、試験は2日間にわたって実施されます。

Q7 歯科医師臨床研修制度について教えてください。

A7 歯科医療のニ-ズが多様化・高度化し、歯科医師の資質の向上が求められる中、平成9年4月、法制化により、歯科医師法の中に「歯科医師は免許を受けた後も、1年以上大学の歯学部若しくは医学部の附属病院(歯科医業を行わないものを除く)または厚生労働大臣の指定する病院若しくは診療所において、臨床研修を行うように努めるものとする。」のように努力義務として規定されましたが、平成18年度から臨床研修は義務化されました。

歯科医師臨床研修

臨床研修(臨床セミナー)

Q8 医師と患者さんの間で問題になるインフォームド・コンセントについて教えてください。

A8 一般的にはインフォームド・コンセントを「説明と同意」と訳していますが、これで十分とはいえません。インフォームとは相手の心の中に自分の考え方や気持ちを浸透させ、相手の心の中にある形を作りあげることを意味し、単なる治療方針の説明にとどまりません。また、コンセントは「一緒に感じる」という意味で、単なる同意というより、共感ないし納得の意味合いが強くなります。
歯科医師が同じ人間としての患者さんを尊敬し、患者さんの病気に対する戦いに協力を惜しまない。これにより、医療側の心が患者さんに通じ、患者さんが理解してくれることから、初めてインフォームド・コンセントは始まります。

Q9 歯学部卒業後の進路は?

A9 卒業後、歯科医師国家試験に合格すれば、歯科医師免許が取得できます。しかし、歯科医師の免許を取得しても、すべての人が歯科診療所や病院の歯科口腔外科等で診療をする臨床医になるとはかぎりません。歯科医師の中には、臨床医としての治療を行わず、解剖学、生理学、生化学などの基礎歯科医学を教育・研究する人もいます。また、大学の先生になる人の多くは、大学院に進み、博士(歯学)の学位をとって、より細分化した専門分野を究めていきます。
その他、治療に関わる器具の研究・開発に携わる道に進んだり、薬品会社の研究職に就く人、各地の保健所・市役所・県庁や厚生労働省などの行政に携わるなど、さまざまな進路があります。

Q10 歯科医師の生涯研修はどうなっていますか。

A10 歯科医学・医療の進歩は日進月歩の状況で、めまぐるしく変貌しています。進歩に遅れないためには、歯科および関連の団体やグループが行う学会研修会・講習会へ積極的に参加し、最新の知識・技術等を修得していかなければなりません。
歯科の各専門領域の学会では、それぞれ認定医、指導医、専門医等(学会により名称は異なる)の制度を設けて会員のレベルアップに努めています。

Q11 歯科医療の場での女性の進出は?

A11 現代の歯科医療の現場での女性の活躍は目覚ましいものがあります。私立歯科大学学生の女性の割合は約39%(平成28年度)となっています。この割合は年々増加する傾向にあります。世界的にもこの傾向がみられ、北ヨーロッパ諸国では女性歯科医の占める割合は90%以上の国もあり、実際に歯科医師の仕事は女性にとっても適した職業といえるようです。
それは、出産等によって、いちど休職をしても、十分な技術や臨床力があれば、子育てが一段落してから復帰や再就職をするのは難しくなく、また、限られた曜日や時間だけ診療を行うことが可能ということがあると思います。

女性歯科医師の活躍

Q12 私立歯科大学・歯学部の国際交流について知りたいのですが。

A12 国際交流なくして歯科医学の発展は望めません。研究によって得られた新しい知識や技術は、個人があるいは一つの国だけが独占すべき性質のものではありません。よい成果は出来るだけ早くより多くの人、より多くの国に情報公開されなければなりません。それによって多くの人々がより良質の医療の恩恵に浴することが出来るからです。国際交流によって、より広い国際的視野に立った歯科医療人の育成を目指して多くの私立歯科大学・歯学部では、海外の歯科大学と姉妹校関係を締結し、学生の海外研修・海外からの学生の受け入れなど学生交流の他、大学(教員)相互の学術交流が活発に行われています。

国際交流(外国からの視察団)

国際交流(歯科治療の見学)


Q13 私立歯科大学・歯学部出身ならではの同窓会などの活動について教えてください。

A13 私立歯科大学・歯学部出身者の大きなメリットは、結束の固い同窓会の存在が挙げられます。歯科医師という専門的な職業からも連帯意識が強くなっており、各私立歯科大学・歯学部の同窓会では、相互扶助の活動はもちろんのこと、研修会の開催などが活発に行われています。各都道府県には同窓会支部を設け支部長がいて、同窓会の世話をしています。卒業後も生涯にわたって勉強を続けてゆかなければならない歯科医師にとっては、同窓会による各種の勉強会や情報交換が強い味方となってくれるのです。

生涯研修セミナー

Q14 最後に、歯学部で学ぶことの心構えを教えてください。

A14 一番大事なことは、はっきりとした目的意識をもって入学してくることです。「歯医者にでもなるか」というような軽い気持ちではとても勉強が続きません。入学したら卒業までは毎日、闘っているのと変わりません。相当な心構えが必要であり、しっかりした目的意識がないと挫折してしまうことになりかねません。しかし、これも逆の立場から言えば、どの大学の歯学部でも、やる気があれば、それに応えてくれるシステムが用意されています。