キャンペーン概要

あなたのドラマ作ります!
「僕とワタシのイイはなし」キャンペーン

「⻭科医療をもっと⾝近に」という思いの元、
私⽴⻭科⼤学協会は全国の⻭科に携わる⼈々の
ストーリーを募集しています。

優秀賞に選ばれた⽅には、
ご⾃⾝のエピソードが実写化されるほか、
各種プレゼントもご⽤意しております。

皆さんと⼀緒に⻭科医療への理解を促進し、
⻭科から健康で明るい社会を
作っていければと願っております。
皆様のご応募、⼼よりお待ちしております。

募集は終了いたしました。

全国から集まったストーリーから、
最優秀作品をドラマ化!

最優秀賞発表

なくした入れ歯

渡辺廣之

優秀賞

たくさんの歯科にまつわるストーリーをお送りいただき
ありがとうございました!

歯科医療について考えたことはありますか?

ごはんを食べるとき、歯を食いしばるとき、
笑うときはもちろん、
糖尿病やアンチエイジングまで、歯科医療は
幅広い分野でわたしたちの生活に直結しています。
身近な存在だからこそ気がつかない歯の大切さ。
人々の人生を豊かにするために、
歯科大学という選択肢について考えてみませんか?

一般社団法人 日本私立歯科大学協会 会長
岩手医科大学 副学長・歯学部長
三浦 廣行 先生
17の学校の17人の先輩の17のドラマ

私立の歯科大学は全国に17校あります。
それぞれの学校の先輩たちが
どんなドラマをもって歯科医を志しているのか?
これをみたら、あなたもちょっとだけ、
歯科医にあこがれるかも・・・?

岩手医科大学

菅原 志帆 Shiho Sugawara
岩手医科大学(統合基礎講座)
医療工学講座 助教
2014年卒
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大阪歯科大学

三上 優 Yuu Mikami
大阪歯科大学
小児歯科医師
2016年卒
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北海道医療大学歯学部

山下 絵利子 Eriko Yamashita
北海道医療大学
歯学部生
第5学年
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福岡歯科大学

花水 麻実 Asami Hanamizu
医療法人一徳会
DENTAL CLINIC 桜坂南 院長
2008年卒
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奥羽大学歯学部

田中 絵里 Eri Tanaka
スリープ歯科
福島院 院長
2009年卒
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明海大学歯学部

吉川 千晶 Chiaki Yoshikawa
明海大学歯学部付属明海大学病院
臨床研修歯科医
2018年卒
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東京歯科大学

鈴木 眞由 Mayu Suzuki
東京歯科大学
水道橋病院 研修歯科医
2018年卒
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昭和大学歯学部

上岡 幸大 Kodai Kamioka
昭和大学
歯学部
第6学年
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日本大学歯学部

須田 駿一 Shunichi Suda
日本大学
歯学部 大学院生
2016年卒
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日本大学松戸歯学部

服部 龍太 Ryuta Hattori
日本大学
松戸歯学部
5年次
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日本歯科大学生命歯学部

佐川 敬一朗 Keiichiro Sagawa
日本歯科大学
口腔リハビリテーション多摩クリニック
歯科医師
2011年卒
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日本歯科大学新潟生命歯学部

円谷 祐太朗 Yutaro Tsumuraya
日本歯科大学
新潟生命歯学部
第2学年
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神奈川歯科大学

千 生倫 Kirin Sen
神奈川歯科大学
歯学部
4年生
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鶴見大学歯学部

藤浪 さをり Saori Fujinami
鶴見大学
歯学部
6年
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松本歯科大学

島田 裟彩 Saaya Shimada
松本歯科大学
歯学部
第6学年
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朝日大学歯学部

中村 陽子 Yoko Nakamura
歯科医師
2010年卒
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愛知学院大学歯学部

井上 博貴 Hiroki Inoue
愛知学院大学附属病院
顎口腔外科講座 助教
2008年卒
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募集要項REQUIREMENTS

募集は終了いたしました。

一般社団法人
日本私立歯科大学協会ABOUT US

一般社団法人 日本私立歯科大学協会は、
日本全国の17の私立歯科大学、
歯学部が相集い昭和51年に設立されたもので、
私立歯科大学の振興を図り、
その使命に寄与するために活動しております。

協会加盟大学

優秀賞

クレーム

小松 有美さん

歯医者が一番嫌い。でも一番行きたいのも歯医者だった。その理由は歯並びにあった。私は出っ歯なのだ。出っ歯だから、大笑いできない、キスもできない、大きな口で食べられない。そうやって自分を憎んでいた。矯正すればいいじゃないかと、世間は軽く言う。しかしわが家は母子家庭。とてもそんなことを言い出せなかった。だから早く社会に出たかった。お金を貯めて、矯正しようという夢をずっとずっと貯めていた。

そして時はきた。初めてのアルバイトで五万入った。これで惨めな自分を卒業できると近所の歯科医院に向かった。行く先々で口の中を見られた。実はこれが裸を見られる以上に恥ずかしかった。先生はきっと私の出っ歯に驚いているにちがいないと思った。それでも自分のため。そう思ってはいたものの、行くこと三軒。七十万、九十万、百二十万。提示された費用は想像を絶するものだった。財布の諭吉たちも目を回していたはずだ。たった五万で何ができるというのだ。私は絶望の淵に立たされた。お金がなければできないと門前払いをされた気分だった。

そんなときキャラメルで詰め物がとれる事件が起きた。急遽大学の近くの歯医者にかけ込んだ。口を開けるなり「キレイな歯ですね」と言われた。私は耳を疑った。いまだかつて歯を褒められたことなどなかったから。こんな出来の悪い私でも「先生」という立場の人に褒められると宙を舞うような気分になった。思わず前歯のことを打ち明けた。お金がないこと、自分の前歯が嫌いなこと。すると「じゃあ一緒に考えていきましょうか」と言った。「一緒に」。なんでもない言葉だが、私には妙に心に響いた。先生はひとつの治療法にこだわらなかった。検査をふまえて私の歯の状態をわかりやすく説明してくれた。今の歯並びで健康上の問題がないこと。噛み合わせにもなんら問題がないこと。歯の状態が良好であること。先生の言葉はすべて勇気に換わった。そして今回矯正はしないことになった。いや、違う。矯正はしないことにした。そう私が決めたのだ。あれだけ矯正をしたかった私。あれだけ歯並びに嫌悪感を抱いていた私なのに。その背景には、見た目より噛み合わせを大事にしてくれた先生の思いがあった。そして私の健康と、私の未来を考えてくれた先生への信頼感があった。

「一緒に考えよう」という言葉は患者にパワーを与える。言われるがままの治療ではなく、未来を自分で切り開くチャンスをくれる。私はいま、出っ歯だけど幸せだ。この歯を認めてくれる人がいたからだ。私の健康を応援してくれる人がいたからだ。先生のおかげで私は喋るのも楽しくなった。出っ歯を忘れて、美味しいものだって美味しく食べられる。あれからもう十五年経つが今度クレームを言いに行こうと思う。先生のせいで、太っちゃった、と。

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優秀賞

歯科医に教わったこと

牛田 飛鳥さん

中学生の頃の話。部活動中に転んでしまい、上の前歯が一本折れてしまった。すぐに折れた歯を拾い、私はそのまま歯科へと向かった。治療は、その折れた歯を接着するというもので終わった。歯科医からは「時間が経つにつれて、くっつけた歯が少し黒ずんでくるかもしれないよ。そうしたら、また処置をするから来てね。」と説明を受けた。
中学校を卒業し、高校に上がると、歯科医の言葉通り、くっつけた前歯の接着部から上の部分が、少し黒ずんできた。笑うと少し見えてしまい、気にはなるけど、私は出来ることならあまり歯科に行きたくない。特に痛みもないし、まじまじと見られなければ目立たない。そう自分に言い聞かせ、歯科へは行かずにいた。
そして高校を卒業し、私は専門学校へ進学した。すぐにアルバイトを始めたのだが、私の気を大きく変えてしまう出来事が起こった。それは、恋だった。同じアルバイトの男性に、私は恋をした。徐々に話す機会が増えていくにつれ、私は自分の前歯が気になった。そしてある日、私は決めた。「歯医者へ行こう!」
思い立ったが吉日。すぐに歯科へと向かった。怖がりな私は、恐怖に怯えながら待合にいた。私の名が呼ばれ、診察室の椅子に座る。椅子が倒される瞬間は生きた心地がしなかった。「痛くしないでください。」二十歳目前にして、こんな言葉を吐くとは思わなかった。しかし、こんな恥ずかしい言葉を笑うことなく、歯科医は「大丈夫ですよ。」と優しい言葉をかけてくれた。
・・・本当かよ。と心の中でなんの罪もない歯科医に恨みを投げつけながら、目を閉じ、治療に臨んだ。
治療が始まってどれくらい経っただろう。もう三十分は経ったかな。まったく痛くない。
むしろ少し心地良いくらいだった。「終わりましたよ。」歯科医の優しい言葉が治療の終わりを告げる。え、もう?と驚きつつ手鏡を見ると、私の前歯は白さを取り戻していた。差し歯になったようだ。しかし不自然さはない。「痛くなかった?」と優しく問いかける歯科医に、感謝と恨めしさを抱いてしまった申し訳なさでいっぱいになった。「次回、受付で予約してね。」この言葉に憂鬱さを抱かなかったのは初めてだった。それからというもの、私の歯科への恐怖心は少しやわらいだ。
私の恋はというと、専門学校を卒業し、就職のため、実らぬままアルバイトも辞めてしまった。
あれから五年。彼氏が出来た。彼とは前歯が丸々見えるくらい、笑いあった。そして三年後、彼氏は夫となった。
夫婦は一生の付き合い。歯も一生の付き合いだ。怖がって歯科に行くことをためらっていては、その一生にかかわってしまう。歯科に行くことは、一生を大切にすること。折れた前歯と実らなかった恋は、私にそう教えてくれた。

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優秀賞

思いがけないプレゼント

井元 奈穂子さん

その歯医者さんは、昔から何も変わらない。待合室のグリーンのカーペット、少し色褪せた壁紙、先生の腕の良さと、受付と診察台を行ったり来たりする歯科助手のアキコさん。
母に手を引かれ、初めてそこを訪れたのは、いくつの時だっただろう。両親も、祖父母も、叔母たちも、一族でお世話になっている。先生に対する信頼は、その腕だけでなく、最近の病院にありがちな、患者の負担になる過剰な検査はせず、たとえ大晦日でも、患者さんのために病院に駆けつけてくれる、そんな人間的な素晴らしさから生まれている。
久しぶりに歯が痛くなったのは、娘を産んで1年ほど経った頃だった。子どもの頃聞いた、あの独特の嫌な音が蘇り、気が重くなった私は、他の歯医者に浮気した。全く痛くない麻酔をしてくれるという口コミに引かれたからだ。最新の設備が揃ったオシャレなその病院では、口コミ通り、全く痛みを感じずに治療を終えた。しかししばらく経つと、治療前以上の痛みに襲われ、あの小さな歯医者さんに帰ってきた。
少しシワが増えたものの、相変わらず上品で優しい先生の顔を見て、心の中で浮気を謝った。そして、すっかり痛みから解放され、やっぱりここでないといけないと再確認した。 つい最近のこと、5歳になった娘が「この歯が痛いねん」と、上の前歯を指さしながら訴えてきた。虫歯にならないよう、歯磨きもきっちりしていたし、アメやガムもまだ食べさせていなかったので、けっこうショックだった。でも見ると、確かに2本の前歯には、うっすらと茶色い筋が入っている。親として申し訳なく思いながら、予約の電話をかけた。
待合室では、これから泣き叫ぶであろう娘を、押さえつけなければならないことを想像すると、溜め息が出た。名前が呼ばれ、診察室に入りながら、私は、娘以上に覚悟を決めた。

先生は歯を見るなり、「虫歯違うよこれ、お茶の色素や」と笑いながら私を見た。「でも痛がるんです」と私が言うと、先生はその前歯を少し触ってから、もう一度、上品な顔で笑った。「大人の歯が下から押してきてるわ、ほら、少しグラグラしてる」
考えてみれば、5歳といえば、最初の歯が抜けるくらいの歳だ。しかし、虫歯しか頭になかった私は、ホッとするやら嬉しいやらで、思わず声を出して笑った。娘が生まれて、初めての子育ては分からないことだらけで、5年なんてあっという間だった。いつの間にか、自分の子どもが、歯が抜ける年になっていたなんて、驚きであり、感慨深い。先生は、優しい眼差しで私と娘を見つめ、「歯磨きしっかりね」と言ってくれた。
歯医者さんに行って、こんなにほっこりした気持ちで出て来られるなんて、思ってもみなかった。先生、どうかいつまでもお元気でいらしてくださいね。

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